横浜市内には市街化調整区域が設定されており、市街化調整区域内では建物の建築が制限されます。
そのため、市街化調整区域内で土地活用をするのは難しい、と思っている方も多いかもしれません。
しかし、

市街化調整区域内で建物を建築しなくても、横浜市内で土地活用をする方法があるのです。

本コラムでは、横浜市内の市街化調整区域内で、建物を建築しなくても土地を活用できる方法などを紹介していきます。

横浜市の市街化調整区域について

横浜市は横浜駅という日本有数のターミナル駅を要する大都市であり、市街化調整区域についてはほとんどないと思われがちです。

しかし、横浜市には99.1k㎡もの市街化調整区域が設定されています。
横浜市自体の面積が337.4k㎡のため、横浜市全体からみると面積の約23%は市街化調整区域に該当します。

このように横浜市は大都市でありながら、市街化調整区域が多い都市でもあります。
なお、大阪市の市街化調整区域は面積全体の約6%、名古屋市の市街化調整区域は面積全体の約7%です。

横浜市の面積約23%が市街化調整区域
面積の約23%が市街化調整区域

横浜市内の土地が市街化調整区域かどうか調査する方法

i-マッピーの画面
「i-マッピー」でまずは確認を!

横浜市内の市街化調整区域がどこに設定されているかは、横浜市が提供するサービス「i-マッピー」により確認することができます。

基本的に横浜市内の市街化調整区域は横浜市北部、西部、南部に多く設定されていますが、中心部から近い、羽沢横浜国大駅近辺にも設定されています。

そのため、自分が所有している横浜市内の土地が市街化調整区域なのかどうかは、「i-マッピー」で調べておいたほうが良いでしょう。

また、その他にも毎年課税される固定資産税の通知書を見ることでも、所有している横浜市内の土地が市街化調整区域かどうか確認できます。
もし市街化区域であれば都市計画税が課税されていますが、市街化調整区域であれば都市計画税が課税されていません。

そのため、固定資産税通知書に都市計画税が課税されてなければ市街化調整区域となります。

自分の土地が市街化調整区域でも土地活用は可能

調査の結果、自分が所有している横浜市内の土地が市街化調整区域であったとしても、土地活用できる可能性はあります。

市街化調整区域というのは、人口を抑制するために設定するエリアのため、人口が増えるおそれのある建物の建築を制限しています。
裏を返せば、人口が増える要素が少なく、建物を建築しないのであれば土地活用ができる可能性が高くなるということです。

なお、コンテナについては建築物とみなされるため、市街化調整区域内での建築許可を取得しなければなりません。
横浜市内の市街化調整区域での建築物とは、屋根があり、かつ柱や壁があるもので基礎の有無や材質などは関係なく、簡易で建築できるものも建築物と見られてしまいます。

人口が増える要素が少なく、建物を建築しない土地活用の代表的なものは次のとおりです。

  • 駐車場経営(コインパーキング、個人用月極駐車場、法人用月極駐車場)
  • 資材置き場として活用
  • フットサル場やドッグラン

市街化調整区域での土地活用は農地法に注意

市街化調整区域内での土地活用をするためには、市街化調整区域内の元となる都市計画法以外の法律の基準もクリアする必要があります。
前述した土地活用方法は、都市計画法の市街化調整区域内でも土地活用できるということであり、他の法律に引っかかってしまうことがあります。この他の法律で代表的なものが「農地法」です。

農地法とは、農業生産の基盤である農地の所有や利用関係の基本的な仕組みを定めた法律です。つまり、農地法は農地を守る法律ということです。

市街化調整区域内の農地を農地以外にするためには、農業委員会の許可を取る必要があります。
しかし、市街化調整区域内の農地を農地以外にする行為は原則不許可で、例外規定のみ許可検討をするという非常に厳しい運用をされています。

また、農地として優良な地域であると指定されている(農地振興法による農地や第一種農地と呼ばれる地域)については、農地以外にする許可は農地関連施設への転用くらいしか許可されません。

つまり、市街化調整区域内の土地活用をしたい場合には、農地法が適用されているのかどうかも確認する必要があるということです。
農地法が適用されているか確認する場所は、所有している土地がある住所により異なります。

【農地法の適用があるのか確認する先】

横浜市中央農業委員会
(所有している土地が鶴見・神奈川・保土ケ谷・旭・港・緑・青葉・都筑区の場合)
横浜市都筑区茅ケ崎中央32番1号 都筑区総合庁舎4F TEL:045-948-2475

横浜市南西部農業委員会
(所有している土地が西・中・南・港南・磯子・金沢・戸塚・栄・泉・瀬谷区の場合)
横浜市戸塚区戸塚町16-17 戸塚区総合庁舎8F TEL:045-866-8495

横浜市内の市街化調整区域内で土地活用をするときによくある質問

横浜市内の市街化調整区域内で土地活用を検討されている方からよくある質問をQ&A方式で回答していきます。

横浜市内の調整区域内で土地を借りたい人なんているの?

はい。横浜市内の調整区域内で土地を借りたいという人はいます。

横浜市の調整区域内で土地を借りたいという人は増えてきており、借り手のほとんどが法人です。
法人として利用する目的はさまざまですが、車両保管場所が欲しい、近くで大規模工事をおこなうため長期間資材置き場として利用したいなどの要望があります。

横浜市内の市街化調整区域内の土地を自力で貸すことはできますか?

自力で貸すこともできますが、リスクが高いため難しいと思ったほうがよいでしょう。

市街化調整区域内の許可取得や、農地法の許可取得は通常、市街化調整区域の開発を専門としている不動産会社か行政書士がおこないます。

ここで注目していただきたいのは市街化調整区域の開発を専門としているという言葉です。

不動産会社や行政書士ですら、市街化調整区域を専門としていない場合は対応ができないほどの難しい手続きとなります。
専門家でも得意分野の方しかおこなえない手続きを個人の方がおこなうのはリスクが高く危険です。

横浜市内の市街化調整区域で違反行為をするとどうなるの?

横浜市は市街化調整区域の運用をしっかりとおこなっているため、都市計画法の許可を取らずに建築した建物の除却命令や是正命令が出されます。

除却命令は設置した建物を撤去すること、是正命令は勝手におこなった土地の造成を元通りに戻すなどの命令のことです。
除却命令や是正命令があり、建物撤去や造成のし直しなどが発生するととんでもない金額負担が出る可能性があります。
そのようなことにならないよう、市街化調整区域の許可は必ず取得しておきましょう。

まとめ

横浜市内の市街化調整区域内にある土地を土地活用することはできますが、さまざまな規制がかかるためすべての規制に対して許可を取得しなければなりません。

この許可を取得するには、専門家でも一部の人にしかできないような難しい手続きをおこなう必要があります。
そのため、横浜市内の市街化調整区域内での土地活用を考えている場合は、市街化調整区域を得意としている不動産会社などに依頼をするようにしましょう。

市街化調整区域内でも借り手が増えている現状、しっかりと許可取得の手続きを踏めば利用していない耕作放棄地や空き地などが収益を生む土地になる可能性を秘めています。